自分で勝手に作った囲いを外す

耳をすませば [DVD]

耳をすませば [DVD]

 数多くあるジブリ作品の中で、わたしが1番好きなのは「トトロ」でも「ナウシカ」でもなくこの『耳をすませば』である。わたしは随分前にこの作品のVHSを購入していて、たとえば自分の原点に立ち戻りたいときにこの作品を観る。そうすると、何か身につけてきてしまった余計なものが洗い流されていくのを感じる。毎回、泣けてしまう。しかも泣く箇所が少しずつ変わるから不思議だ。本当にやりたいことがあるけれど勇気がなくて出来ない、いつかは・・・と思いつつも延ばし延ばしにしてしまっている、なんていう人はきっとこの作品から勇気をもらうはずだ。
 主人公の月島雫は中学3年生、読書好きな女の子。彼女が出会った天沢聖司は同じ中学生にも関らず、夢を持ちしっかりとその実現のために努力をしている少年だった。雫は、夢に向かって突き進む聖司に心を惹かれつつ、自分の曖昧さに焦りを感じる。そして一体自分は何をしたいのだろうか?何ができるのだろう?と模索し始める。
 純粋ってこういうことだ。誰かに憧れ、そして自分もそれに負けないように頑張る!って、こんなこと、大人になってありますか?できていない自分を棚に上げて、頑張っている人を嘲笑したりしてないですか?何だかなー、本当にこの作品を観ると、自分にもこんなに純粋だった時期があったのだ、と思うのだ。そして、その純粋さっていうのは決して失われたわけではなく、傷つくことを恐れるがゆえに[純粋]にしっかりと囲いを作ってしまっているに過ぎないのだ、ということを感じる。
 ちなみに、この映画の舞台は聖蹟桜ヶ丘といって、わたしの住む府中の隣町である。府中に引越して初めてそれを知ったときは、憧れ続けてきた世界を生活圏にすることに鳥肌が立つような思いをし、何かここに来るべきだった運命のようなものを感じた。