目に見えないから怖いけど、目に見えたら生きてけない

内部被曝の脅威  ちくま新書(541)

内部被曝の脅威 ちくま新書(541)

 話題の映画『六ヶ所村ラプソディー』の監督である鎌仲ひとみと、広島で被爆を経験した医師の肥田舜太郎共著の新書。肥田は原爆体験から、鎌仲はイラク劣化ウラン弾について現地を訪れ調査を続けるうちにわかってきたことをそれぞれ報告。対談もある。
 内部被曝、だなんて普段あまり聞かない言葉だけど、原爆や原発事故なんかで空中に浮遊した放射性物質を呼吸や食物などから一度体内に取り込んでしまうと、これは半減するまでに何千年何万年かかるという世界だから、まあ今生きてるわたしたちにとってみたら「永遠」みたいなものだ。この取り込まれた放射性物質は、体内でチカチカと放射線を出し続ける。要するに身体は、存在する間ずっと被曝しつづけるというわけだ。体内の細胞がぼろぼろに壊されて、消滅してもなお、放射線は死なない。ちなみにヒバクは、その仕方によって漢字が異なることにお気づきだろうか。一般的に外部からのヒバクの場合は「被爆」と書き、内部の場合は「被曝」と書くことが多い。
 この本は、わたしのような素人には理解し難いヒバクのメカニズムを、わかりやすく丁寧に説明してくれる。報道されない世界で何が起こっているかを知らせてくれる。情緒的に揺り動かされる場面もあって、何か引き込まれるように、物語を読むかのように夢中になって読んだ。しかし、これは現実なのだ、と気づくたびに何かいたたまれない気持ちになった。わたしがこれを知って、何ができるのか、けれども知らないままではいられない。
 実はヒバク大国であるアメリカの事情、劣化ウラン弾の脅威、チェルノブイリ原発の事故後、奇形児が多く生まれたことだって、食べ物がすっかり汚染されていることだって、日本でも原発周辺地域での癌患者の発生件数が高いなんて、報道できるわけがないのだ。
 もし、あなたが核について、少しでも考えてみようと思うのならわたしはまずこの本を薦めると思う。そうなると必然的に青森県六ヶ所村のことが気になってくるはずだ。そうしたら、下記の本を手に取るだろう。
ロッカショ 2万4000年後の地球へのメッセージ

ロッカショ 2万4000年後の地球へのメッセージ