平安の毒舌女

枕草子 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

枕草子 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

 清少納言は、女だなー。当たり前のことを言うようだけど。頭が良くてちょいキツめの、女。おっとりとは無縁の、バリバリ仕事をこなし、ある意味男を見下しているような、女だと思う。
 当時は、一夫多妻の通い婚というのが当たり前の時代だった。だからといって人の心もそれに合わせて順応できるわけではない。そんなの当然だ。夫が他の女のところに通っているなんて、女なら誰だって嫌なはずだ。しかし、そんな嫉妬を清少納言はみっともないと笑い飛ばす。そして「将来に望みもなく、ただいちずに夫にすがって、いつわりの幸せに安住しているような女を見ると、うっとうしく、ばかみたいだと思える」と言う。宮中に女房として仕えた彼女にしてみれば、主婦なんてみんなばかなのだ。
 また、男が朝方になって帰って行く時の姿についても、こう嘆く。女に「もう明け方だから帰ったほうがいいのでは?」と催促されて、溜息なんかついてしぶしぶ帰るような男は、もっと一緒に居たいのだなーと思わせて素敵だけれど、たいていの男は、夜が明ける前に、慌ててバタバタと服を着て、名残惜しむ一言もなく急いで帰ってしまう。これが現実だ・・・と。はぁ〜と溜息をついて、こんな日記を書いているんだから、何か現代の話と言っても違和感ないな。例えば、内田春菊とかが書いていてもおかしくないんじゃないかと思う。
 清少納言は人の心をよく見抜いていて、自分に正直だ。美しいとかみっともないとか、ムカツクとかバカじゃん?ということをそのまま表現している。そして自分の中の汚い感情すら隠すことはない。

人の悪口を言うのを怒る人は、わけがわからない。どうして言わずにいられようか。自分のことは棚に上げて、これほどじれったく言いたいものが他にあろうか。でもあまり感心できないことだろうし、その上、当人が自然聞きつけて恨んだりするから、困ったもの。また嫌いになってしまえない人のことは、気の毒だと大目に見て、我慢して言わない。そうでもなければ、すぐ言い出して笑いものにしてしまうだろう。

 すごいね、ここまで言い切っちゃうとは。ああ、たぶん友達にはなれない。