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『物語の役割』

物語の役割 (ちくまプリマー新書)

物語の役割 (ちくまプリマー新書)

 小川洋子の「物語」について講演をまとめた本を読んだ。これも図書館から借りている本。
 小川洋子の世界は独特だ。誰とも違う。小説を読んでいると、ぼんやりとした、輪郭の曖昧な世界が、突如鮮明に浮かび上がってくるのを感じる。そしていつもどこか奇妙な空気が流れている。10代の終わりに『シュガータイム』を夢中になって読んだ。『薬指の標本』も好きだし『まぶた』という短篇集も好きだ。それから『妊娠カレンダー』に収録されている『ドミトリー』という作品にはドキドキした。わたしの生活の中のそれぞれの時代にいつも小川洋子の本が登場する。
 この本は、彼女自身の幼少からの読書体験や、はじめて人の「死」に触れたときの感触、『博士の愛した数式』ができあがる過程などを通して、「物語」とは何か、それをどう作っていくのか、どうできていくのか、作家の資質についても話している。この中で紹介される本はどれも興味深く、次回図書館に行ったら借りたいものばかり。
 小川洋子は、特にホロスコート文学に興味を持って読み続けているという。『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』は、ポール・オースターが編者となって、ラジオで呼びかけ、アメリカ人のそれぞれの現実のストーリーを寄せ集めた本。家族にまつわる話、人に言えない大失敗、偶然の物語、惨めな話、死にそうになった話、クリスマスの話など、アメリカ人、1人1人のプライベートな世界から、このアメリカという国が見えてくるのだという。
ナショナル・ストーリー・プロジェクト

ナショナル・ストーリー・プロジェクト

生きつづける―ホロコーストの記憶を問う (みすずライブラリー)

生きつづける―ホロコーストの記憶を問う (みすずライブラリー)

夜と霧 新版

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アンネの日記 (文春文庫)

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また、読書の世界が広がって行く予感・・・。