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コトバ、ください。

省察 (ちくま学芸文庫)

省察 (ちくま学芸文庫)

カントの読み方 (ちくま新書)

カントの読み方 (ちくま新書)

 通勤時間にこの2冊を交互に読んでいる。新しい仕事は思いのほか気が滅入ることが多く、書物の中に「コトバ」を探してしまう。コトバ。わたしを救うコトバ。
 わたしは常に言葉に助けられてきたように思う。何かから立ち直った人の言葉に強さを感じ、きっとわたしにも乗り越えられるはずだと希望を持った。つらいときに、誰かのほんのちょっとした言葉によって自分を立て直すことができたりする。わたしが過去に救われたように、わたしもいつか、わたしの言葉によって誰かの助けになれたならどんなに素晴らしいだろうかと考える。そしてそれが循環していけばいいのに。
 哲学なんてそういうことなんだと思う。研究材料としての学問というだけでは、意味をなさない。古い書物にあるたった1つの言葉、文章によって目が覚めたり、なーんだ、そういうことか!いいんだよ!これで!・・・なんて、肩の力が抜けたりすればいいのだ。生きるのがつらくなるから、みんな哲学書の中に答えを探そうとするんだろう。だけど、そこに「あなたの人生」が書いているわけではない。そこには、考えたり気づいたりするためのヒントが詰まっている。答えは自分が考えなくてはならない。あなたの代わりはいない。

 今はデカルトの言葉を何度も何度も繰り返し読んでいる。理解力が落ちてきたと思ったら中島義道がやさしく(充分難しいですけど!)教えるカントについて読む。電車の中のたった十数分、わからなくなって何度もページを戻ったりしながら、わたしはコトバを咀嚼し続ける。