メメント

メメント

メメント

 久しぶりに森達也の本を読む。「メメントモリ」とは死について想うことである。この本のタイトルは『メメント』そして森達也の「モリ」へと繋がっていく。洒落たタイトル。
 帯にはこうある。

 僕たち人間は、
 自分が必ず死ぬことを知ってしまった 
 唯一の生きものだ。
 じゃあ、「死」ってなんだろう?

 確かに私たちは、「死」についてよく知らない。死を体験し、それを伝えてくれる人がいないからである。生きている私たちにとって「死」とは何だろうか。森達也は、ペットの死、宗教や戦争や殺人や自殺や、切っても切っても再生するプラナリアや宇宙(これ読んでて宇宙の本が読みたくなった)や、日常の中から、はっとするような視点でそこに迫っていく。
 オウム信者に密着した映画を撮ったことや、各所でのきわどい発言によって、人によっては森達也思想を異端のように見なす人もいるということはわかる。けれども、彼を批判する人は、実際に現場で何かを見て何かを自分の体で実感しているかどうかと言えば怪しいところだと思う。森達也はとにかく、自分の目で確かめる。そして、世間的にはマズイと言われるようなことでも、長いものに巻かれるようなことは決してせず、はっきりと自分の意見を言う。本人言うところの「KY」だ。怯むこともない。あえて、タブーに触れてみる。それはいったいなぜタブーなのかと。
 私が森達也の作品に惹かれるのはそういうところだと思う。人の顔色を見ながら、もにゃもにゃとした言葉を発するくらいなら、いっそ沈黙を貫いたほうがましだ、と思う。
 それにしても、森達也の教養の幅広さと、それをわかりやすく記述できる能力にはいつも感動させられる。そしてわからないことはわからない、とはっきり言い放つことで、それ以外の知識が一層際立っている気がする。関係ないけど、実はかなりの動物好きだということがわかった。そんな雰囲気全然ないのに(笑)ますますファンになった。