『出トウキョウ記』としてのスロウ・ボート

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 新しい本棚(一応文庫本用)を購入したことで、本を整理することになった。それで、夫の本棚(もしくは段ボール箱)の中から出てきた1冊。装丁に惹かれて何気なく読む。村上春樹の『中国行きのスロウ・ボート』をトリビュートする、という形で出版されたものだ。他の作家によって『ダンス・ダンス・ダンス』や『海辺のカフカ』をモチーフにした作品なども発表された。
 最初は少し読みづらいような、独特の文体、言い回し、に戸惑う。読み進めていけば、その夢、深層意識の世界、そして現実(まさにその年代に起きたあらゆる事件や出来事)に出会う。回想、小学生の頃に出会ったハイパートークな女の子(喋り過ぎ。あらゆる断片が滝のように溢れる)。そして大学時代にセックスから始まった旭川出身の女の子(当然つきあってからも、ものすごいペースでやりまくる)、最後は、要塞としてのカフェを経営しているときに出会った包丁ガール(高校生)、それぞれの女の子と出会いそして喪失、の物語。憎悪する東京という街での(裏表紙の言葉を借りるならば)ボーイ・ミーツ・ガール!東京を脱出しようとして失敗に終わった記録。年代を追っかけてると、自分がまさにその年代に、その年齢だったことに気付いてびっくりした。19歳の頃にポケットベルを持っていたんだった。
 まさに音楽をリミックスするように、年代を、風景を、思いを、音を、サクサクと混ぜ合わせ、既知と未知に遭遇。So good!

中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)

中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)