『モダンタイムス』

モダンタイムス (Morning NOVELS)

モダンタイムス (Morning NOVELS)

 未来の日本。そこには徴兵制度があり、ネット社会がもっと進み、ジョン・レノンは忘れられ、小説は紙ではなくなっていた。クローン人間は人体実験や軍事に利用される時代。
 人はわからないことがあったら、まず何をするか。それは検索である。これは、この時代だけでなく、今、この現代もそうなりつつある。
 そして、ある検索ワードから、それを調べる人間をつきとめて、制裁を加える社会。何だか身震いがする。風刺やユーモアいっぱいなんだけれど、これが虚構であると片付けてしまえない。数十年先、実際そうなっていてもおかしくはないような気がしてしまう。それがまた怖い。システムに組み込まれ細分化することで人は無感覚になってしまう。アウシュビッツユダヤ人をガス室に淡々と送り込んでいたアイヒマンだって子煩悩だったというし。それが仕事だから、という理由でやっていることを正当化し、人としての感情はどんどん麻痺してしまうんだろう。
 世の中的に当たり前であるとされていることに疑問を持つこと、他の視点から観察することを忘れないでいたい。誰かの言葉通りに、思考せずに行動するのだけは避けたいと思う。
 登場人物の1人である、女好きの小説家、井坂好太郎。小説家の名前を考えるのが面倒でこの名前にしたとあとがきにあるが、どうしても伊坂幸太郎の顔を思い浮かべてしまい笑ってしまう。