完敗

 久々に、昔の職場の人に会う。
 誰それが仕事辞めた、誰それが妊娠した、みんないろんな変化があるようだ。その話を聞きながら、一緒に過ごした日々のわりに人と深く関わっていなかったということに気づく私。あえてそうして来たような気もする。私は何を話していいのかわからなく、自分のことをあれこれ聞かれるのも何となく嫌で、聞きたいわけでもない質問を繰り返す。私は彼女の、女の子然とした態度、身なりも思考も清潔すぎるところや、潔癖ゆえに自分の嗜好と少しだけ違うものを完全拒絶したりするところが実は苦手で、おそらく彼女にとっても拒絶の対象になりかねないようなこんな曖昧でだらしない私に、何で会いに来るのかと思うのだけれど、ただの時間潰しである、というのが妥当なんだということもどこかでわかっている。会う時はたいてい他の人の代わりだったりするのだ。それを代わりと正直に言ってしまうところに彼女の単純さがあるわけだけれど、それにいちいち傷つくほど私は彼女に心を寄せていない。なのに、会おうと言われるとうまく断れない。何度か断ったことはあるけれど、それでもそれでも気づかず誘ってくる無邪気な彼女に結局負けてしまうのだ。誰かが真剣に考えていることや、そこにあるはずの問題なんかを「えー無理!」とか「気持ち悪い!」とか「やだ」とかいう言葉で一瞬にして終わらせてしまう彼女。いつだって私に勝ち目はない。