ポトスライムの舟、を読む

ポトスライムの舟

ポトスライムの舟

 たまには話題の本の話でも。

お金がなくても、思いっきり無理しなくても、
夢は毎日育ててゆける。契約社員ナガセ29歳、彼女の目標は、
自分の年収と同じ世界一周旅行の費用を貯めること、総額163万円。

 過去のわたし、とか、わたしの友達、が描かれているかのような本だった。
 安い給料で日々を維持するだけでやっとな生活。だけど、友達にも会いたいし、欲しいものもある。いつか、いつか、と思い、そんな中でも生活費を切り詰めて旅に出る日を夢想する。あーあ、もっとお金あったらなぁ〜なんていうことも思うんだけど、いつか叶えたいという夢を抱いている自分は、他のたいていの友達が属している、「正社員」とか「主婦」とは違う、自由な人間なんだ、っていうところが誇らしくも楽しくもあるアノ感じ。懐かしいような気がする。
 ナガセの学生時代の友達の在り方も本当にそれぞれだ。5年間会社勤めして貯めたお金でカフェを経営してるヨシカや、経済的にゆとりのある夫と結婚して子どもも生まれ、幸せそうな生活をしているが、姑や奥さん連中とのあーだこーだを愚痴るそよ乃、自分の家庭のことはあまり話さないが、実は夫と冷戦状態が続いていて、とうとう娘を連れて家を飛び出してきたりつ子。まるで彼女たちを知っているような気がする。
 この本について、派遣切り時代のリアル、みたいなこともどこかに書かれていたけれど、それも何か違う感じがする。いつだってこういう人たち(わたしたち)が居て、それ以外の人も居る。2008、とか2009年のリアルってわけじゃなくてね。それは、お金ない人:ある人、っていう区切りではなくって、冒険心のようなことを実行しちゃおうとする人と、レールの上を外れることなく淡々進んでいくことに疑問を感じない、要するにそれが人生なんだ、という人、だと思うんだけどなぁ。ああ、うまく伝わるかなぁ・・・。本当は「自由」なんだけどね。自分や誰かが作った箱に入るのか、入らないのかなんて、ホントは自由なんだと思う。
 同様に、お金があろうとなかろうと、幸せと思うかどうかなんて、自由だよね。自分以外の誰も決めることなんてできない。どう感じるかなんて。そんなの。