漢方小説

漢方小説 (集英社文庫 な 45-1)

漢方小説 (集英社文庫 な 45-1)

 前からタイトルと表紙が気になっていた。私も漢方のお世話になっているし、表紙の女の人の雰囲気が私っぽい、とだいぶ前に夫に言われたことがあったから。
 漢方薬は即効性がない、とか本当に効くの?とか思われがちだけれど、そもそも西洋医学と東洋医学では病気に対する考え方が違う。西洋医学では対処療法といって、出ている症状に対してそれを治めようとするピンポイントな治療、頭痛を例にとれば、とにかく症状である痛みを取り除こうとする。これが東洋医学になると、頭痛が出ている原因となるもの、まあ、肩こりであったり目の疲れであったりストレスであったりといった根本をじわじわと治して頭痛という症状が出ないようにしよう、というもの。たぶん、私なりの解釈だけど、急性の症状のものは西洋医学、慢性のものは東洋医学が得意分野なんじゃないかと思う。
 この小説の場合は、「昔の男」が結婚する、と聞いてから謎の胃痛や不眠などに悩まされるようになった31歳独身女性が、西洋医学的検査では特に問題なし、と言われ、あちこちの病院を転々とし、やっと東洋医学に出会い、症状を認めてもらえたことに安心し、漢方薬を服用していくことによって少しずつ回復していく。要するに、微妙なお年頃、なわけだ。これから仕事どうするんだろ?彼氏もいない。結婚できるのかな?とか何とか考えているところに、もし誰もいなかったら戻っても・・・なんて思って安心していた男が結婚?!ってことになりゃ、ありそうな話だ。
 解説が酒井順子というのも、頷ける。そしてこんな言葉を残してます。

 漢方小説は、三十代前半のモヤモヤした時期にいる独身女性だけでなく、「狭間」に悩む全ての人達にとって、効能がある本なのだと思います。はまってしまった狭間から浮き上がるには、もがくしかない。もがいた末にはその人なりの「何か」が見つかるし、また狭間からすぐに脱出しなくても、時には素敵な景色が見えてくる。

 そうなんだよー。1回もがいた人にしか見えない景色ってものが存在するのだ。それは実感して生きてるつもり。病気を題材にしているのだけど、さらっとして、時々笑えて、爽快な本だった。