インド夜想曲

インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

 あちこちで言ってるけれど、WBCが終わってから脱力感で何もしたくなくなった。たいした家事もせず、1週間、ほぼ何も読まなかった。燃え尽き症候群とはよく言ったもんだ。(私、選手じゃないけどさ!)
 カラマーゾフも、ちまちまと読んでいるが、合間でこれを読了。うーん、やっぱり不思議な小説。移動しつづける感じが『レクイエム』に似ている。
 バスの待合所で会った少年の兄(遠くから見ると猿かと間違えるほど茶色くてしわくちゃで手足がひん曲った預言者)が、「僕」のカルマを見てくれる。

「ごめんなさい」少年は言った。「兄はだめだって言うんです。あなたは、もうひとりの人だって」
「そうかい」僕は言った。「だれだろう?」
少年がもういちど兄に話しかけると、短い返事がかえってきた。「それはなんでもいいそうです」少年がとりついだ。「マーヤ―にすぎないからです」
「マーヤーってなんだい」
「この世の仮のすがたです」と少年はこたえた。「でもそれは、幻影にすぎないのです。大切なのはアトマンだけです」それから、少年は兄に相談し、核心に満ちて言った。
「大切なのはアトマンです」
「それじゃ、アトマンってなんだ」
僕の無智に少年はにっこりした。「The soul.個人のたましいいです」

 このシーンが妙に印象に残ったのだけど、最後の最後に、このことの意味わかる。