日々ごはん3、すいかをめぐる回想

日々ごはん〈3〉

日々ごはん〈3〉

 2003年の夏に放送していたドラマ「すいか」高山なおみさんも見ていたんだな。何だか嬉しくなった。私はその頃、身も心もボロボロで、働きも何もせず実家で暮らしていた。母と2人でこのドラマにはまって、毎週見ていたのだ。だからこのドラマのことを思い出すと、もれなく自分のヒリヒリした心もついてくる。毎日毎日あんなに心が痛くて、それをごまかすために、ばかばかとタバコを吸っていた。吸っても吸っても痛くて、泣きもしない。打ちひしがれて、ただ痛いという、どうにもできないあの感じ。そこに「すいか」は薄〜い包帯を巻いてくれるようだった。「すいか」の日に、珍しく父と母は大きな喧嘩をして口を聞いていなかった。だから私と母はリビングではなく、2階の部屋でテレビを見ていた。記憶はあいまいだが、母は別れて実家に帰るかな、みたいなことを言って、私はものすごく悲しくなった。そして、このボロボロの私はどうなってしまうのだろう、と思った。そしてもう、どうにでもなっていいのか、とも。父と母は次の日には何事もなかったように普通に戻っていたけど・・・(笑)そんな風景まで思い起こさせる「すいか」。すごいドラマだ。
小林聡美も好きだし、市川実日子も好きだし、キョンキョンともさかりえ、なんだか心地よい女性がたくさん出ていた。
すいか DVD-BOX (4枚組)

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 私は、もうこの世でひとりで生きてく覚悟すらしていたんじゃないだろうか。その2年後に今の夫に出会うなんて、全く想像もしていなかった(その後がもっと大変だったが)。けれど、その時期、2003年の夏の空気、今思い出してみるとそんなに嫌いでもない。戻りたくはないけれど、完全(と思われるぐらい)に底辺に落ち、いや、穴を掘って地下にもぐり、そこから素手で素足で這い上がったからこそ、今の景色が鮮明に、眩しいくらいにくっきりしているのだから。だってあれからわたし、生き方変わったもの。それは本当に。『日々ごはん3』を読んでいて、ずっしりとした存在感のある憂鬱と、その後のふわーっとした上昇を思い出した。