謝々!チャイニーズ

謝々(シエシエ)!チャイニーズ (文春文庫)

謝々(シエシエ)!チャイニーズ (文春文庫)

 ここのところ(ずっとだけど)ちょっと厚めの本を並行して読んでいるから、1冊読了までに時間がかかってしまう。もっと集中して読み終えて行きたいのに。わたしはきっと欲張りなのだと思う。そして待ちきれない。せっかち。
 今日は『謝々!チャイニーズ』を読み終わる。この本を知ったきっかけは米原万里の書評だった。何となくタイトルが頭にこびりついていて、本屋でふと目にとまり手に取った。
 中国に行ったことのないわたしにもじりじりと感じられる街の熱気、匂い、勢い、人々の貧困と、のし上がるたくましさ。すっかり魅了されてしまった。何故20代で旅をしなかったか、と悔むほどだ。今、行くのではきっと何かが違う。わたしはあまりに日本に馴染みすぎてしまった気がする。日本人なのだから当然だ、と思われるかもしれないが、よく考えてみると、こんなにたくさんの国がある地球に住んでいて、ただこの国で生まれたというだけでそこに縛りつけられ(だれも縛ってないのだけど)、狭い世界の価値観の中で飼いならされていかなくてはならない理由など本当はないのだ、と感じる。少しズレると「空気が読めない」だの「常識がない」だの、大多数から見て異質なものは排除されがちな世の中だけど、それは「井の中の」話なのだ。
 この本を読んでいて、本当の自由について考えていた。それはきっと、お金があって何でも手に入ることではなく、国、世間、人の目、常識、時代、環境、さらには法まで・・・あらゆる枠を超えてある、精神、フランクルナチス収容所についての本にも書かれていた、物質的肉体的という、ものを超え、更に中にある、誰にも支配できない精神の自由だ、と改めて思った。決して犯されない領域を自分の中にしっかり持っているというのは本当に強いことだ。ここに描かれている中国人のバイタリティ、たくましさ、めげない強さに感服。わたしたちは恵まれた環境の中で完全にふやけてしまっているのではないか、なんて思う。星野博美は素手で泥だらけになりながら実感してきたのだな。日本の常識じゃ考えられないことばかりで、腹も立つけど魅了される気持ちはすごーくわかる。型にはまって苦しくなってる人におすすめな本。