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心と響き合う読書案内

心と響き合う読書案内 (PHP新書)

心と響き合う読書案内 (PHP新書)

 小川洋子がパーソナリティを務めるFMから生まれた、読書案内本。この番組自体は聴いたことはないのだけど、本とともに紹介された曲名なんかも載っていて、イメージが湧く。調べてみると、日曜の朝10:00からTOKYOFMで、今も放送されている。よく晴れた春の休日、午前中に遅い朝食を摂りながら聴くには良さそうな感じだ。
 小川洋子の小説自体も好きなんだけれど(好きだから?)、彼女が紹介する本もかなりツボだ。半分近くはわたしも読んだことのある本だった。とは言っても、子どもの頃に読んだっきりで内容を忘れている本もある。同じ作品でも、大人になって読むと今まで理解できなかったことが手に取るようにわかったり、逆に何故あれほどにドキドキしたんだろう?なんて思うこともあるものだ。ちょっといろいろ読み返してみたい。『悲しみよこんにちは』/サガンなんて・・・中学生の頃読んだ時は大人びた激しさを感じてどうも理解しきれない部分があったもんなー。当時はシャーロックホームズとかを読むほうが分かりやすくて楽しかったのだった。(今も好きだけど)
 この本の最後に紹介されている『100万回生きたねこ』は、20代の頃、友人からおすすめされて出会ったけれど、最初読んだ時はそれほど心に響かなかった記憶がある。そして本棚の奥にひっそりと眠っていた。
 5年ほど経ったある日、当時まだ彼氏だった夫が実家に遊びに来た。そしてこの本を何となく引っ張り出してきた。夫が「読んで」と言うので、絵本をめくりながらわたしは朗読を始めた。すると何でだろう。ページの最後に差し掛かる頃に、急に涙がこみ上げて来た。それがどうしてなのか。言葉で表現できないような感情だった。とにかく、抑えようとしてもぽろぽろぽろぽろと涙は流れるばかり。恥ずかしいやら涙は出るやらで自分でもよくわからない謎の瞬間だった。
 でも今はわかる。あの時、わたしは、「白い猫」に出会ったことにやっと気づいたのだ。
100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)

100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)

 読書、というのは、経験と重ね合わされた時に、本当に心に響くのだと思う。同じ状況設定でないにしろ、心のありようという意味でだ。小川洋子は、『万葉集』の紹介文の中で、「自分のために詠まれた歌」が必ずある、と言っている。