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生命力

 晴れ。今朝は近所のスーパーに買い物に行く。とても久しぶりだ。食材や日用品は注文しておけば宅配業者が毎週届けてくれるし、何かちょっと足りないという時でもネットスーパーならわざわざ歩いて出掛けなくてもネットで選んで簡単に手に入る。
 でも歩いてみて気づいた。たまには、重みをずっしり感じて歩くというのも悪くない。これはわたしが選んで買ったのだ、という実感と共にありがたみまで湧いてくる。気温が上がって来て少し汗ばむくらいだ。心地よい疲労感。
 通りに、小学校がある。新入生たちなのかな。校庭で遊ぶ子どもたち。はしゃいで、走って、大騒ぎだ。その声を、ざわめきを、聞きながら歩いていると、エネルギーの渦、のようなものを感じた。ものすごい生命力だ。新芽が太陽に向かって伸び、開くような力強い感じ。ぎゅうっと凝縮されたエキスみたいなもの。最近まで、悩みだの孤独だの死だとか人生の意味だとか、考えても答えの出ないことばかり考えていただけに、これは衝撃。閉めきった暗室にこもっていたはずが、急に窓が開いて、眩しい光が射してきて、目が開けられないかんじ。
 すごいシンプルなことがそこにあった。この純粋さ、眩しさ。これこそが人間の本質なんではないのか。存在とはこの、光のことなんではないのか、と。そして、影がなければ、そこを照らす光を認識することはできない。
 だからこれでいい。
 わたしはプラス面だけを強調しているものやことを信じない。そしてその逆ももちろん。
 植物も暗闇がなければ育たない。人間も闇と光があるから生きているのであって、その一面だけを否定したり称賛したりするのは根本的な部分で間違っている。
 不安ばかりが充満し、先行きが暗い世の中だ何だと言われながらも、そこにあえて、ものすごいエネルギーでもって果敢に生まれ出てくる生命たち。君たちにわたしは勇気づけられる。
 だから、どうか、元気でいてください。
 この、弾けんばかりの生命力を、どうか、忘れずに、持って、大きくなってください。
 そしてわたしは、素知らぬ顔で、学校を通り過ぎた。