読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

発達障害の子どもたち

発達障害の子どもたち (講談社現代新書)

発達障害の子どもたち (講談社現代新書)

 発達障害と一口に言っても、これがなかなか奥深いというか分類しきれないというかあれやこれやが相関して様々なタイプが混在する。自閉症ADHD、LD、アスペルガー・・・名前だけはあちこちでよく聞くものばかりだが、それも軽度のもの重度のもの、知的障害が伴うものもあれば知能に遅れの無い障害もある。そもそも障害という言葉を使っているけれど、1個前の日記に書いたアムちゃん的には、括りは「そういう人」っていうことなのかもしれない。けれど実際にそこまで辿り着く前に、人は学校や会社なんかで集団生活を送らねばならず、そこで人とうまくやっていくことが難しかったり、学習がうまく進まなかったり、仕事を覚えられなかったりすると、生きることそのものが大変になってくる。それをいかに、トレーニングや治療によって順応していくか、何とかかんとか思考錯誤してうまくやっていくための正しい知識と理解、そして願い!みたいなものがこめられたのが本書である。
自閉症の子どもがよくオウム返し*1をするのは知っていたけれど、「逆転バイバイ」などという行為はこの本で初めて知った。

 健常な子供は、すでに幼児期の後半からバイバイの真似をして手を振る。自閉症児も、真似ができるようになると「バイバイ」をするが、手のひらを自分の方に向けて「バイバイ」と手を振るのである。これは「逆転バイバイ」と呼ばれる現象である。
 ところがよく考えてみると、大人が赤ちゃんに向かって「バイバイ」とするときには、手のひらは赤ちゃんの方に向いている。機械的にそれを真似れば、実は自閉症児の「逆転バイバイ」が正解なのだ!むしろ問題は、なぜ普通の零歳児が、手のひらは自分のほうを向いているのに、相手に手のひらを向けてバイバイができるのかということである。普通の赤ちゃんでは、すでに乳児のうちに、自分の体験と人の体験が重なり合うという前提があるからに他ならない。自閉症児の場合には、この段階ですでに問題があるのである。

 この本の中でやっぱり気になったのは、虐待系の発達障害について。虐待によって子どもの発達が著しく遅れることがあるそうだ。子どもを連れて受診したお母さんのほうの問題が噴出することも少なくない。もともと軽度の発達障害がある子どもで、親がそれに気づかずに接していて、子どもが愛着行動*2を示さないことでかわいいと思えずに虐待をしてしまい、余計に悪化させてしまうという悪循環に陥ってしまうケースもあるのだとか。
 わたしは、どうしても虐待のこととなると感情が揺れてしまう。動物にしろ子どもにしろ、抵抗できない弱いものへと向かう暴力が許せなくて怒りがこみ上げてくる。だけど、本当は、そして何でもそうだけど、ただ加害者憎しでは解決しないのだ。加害してしまう心に向き合うこと、その人の(この場合は親)弱さやつらさを軽減することが根本治療への道なんだと思う。
 世の中のお母さんが、つらくて耐えられない、自分の衝動を抑え切れない!と思うときに、敷居など気にせずに助けを求める場所がもっと明確に、身近にあればいいのに、と思う。そのへんに気軽にあるのかな?わたしが知らないだけで。わたしはずっと、このマンションの下で毎日子どもに向かって怒り狂っていた母親の声が忘れられない。手を差し伸べることができないまま引っ越してしまったけれど、あの子は今頃元気なのかと時々思い出すのです。

(*一応、注意書きですが、発達障害のすべてが虐待で起こるのではありません。虐待によって起こる障害もあるということです。)

*1:言われた言葉をそのまま繰り返す。例えば「ご飯食べるの?」とお母さんが聞くと「うん」と言うのではなく「ご飯食べるの?」と同じ言葉で返すなど。

*2:母親が離れると泣いたりして、求めるような行為等