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『私という病』

私という病 (新潮文庫)

私という病 (新潮文庫)

知ってはいたけれど、特に読む気もせずスルーしていた本だった。なんだろ。新潮社文庫の棚の前で夏目漱石の本を手に取った時に、何気に見えてパラパラめくって、何気に買ってしまった、しかし、これが面白いのである。面白いっていうのかな。ちょっとドキドキで、そして切なくなる。
女が年を取り、恋も、夫とのセックスもなくなり、周りからちやほやされなくなっていく。昔は「させてあげる」だったのに今じゃ「していただく」になっている…

私という女の価値が暴落したのだ。

には、耳が痛い・・・。
中村うさぎは、素直に「女」になれない女だった。女であることに居心地悪いような女。だからこそ、女であることを確かめるためにこうせざるを得なかったのかもしれない。潜入取材のようでいて、実は自分という女の存在証明のための大きな冒険物語である。

私は自分の中の「女性嫌悪」と「男性嫌悪」、引き裂かれた「私」の存在、「女であること=男の性的対象であること」の快感と不快感の根っこについて、次々と新たな発見をする羽目になったのである。

しかし、世の中の目は冷たい。決まっていた仕事を露骨に断られたり、急に馴れ馴れしくなる人もいる。特に男性。世の男たちのセックスワーカーに対する視線というのは不思議だ。欲する対象でもあり蔑む対象でもあるのだから。それも含め、女とは、男とは、その間にあるものとは、目隠しせずに見せつけられる。はぁ〜。考えないようにしていることをどーんと出されました、といった感じ。