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奥歯について、再び

二階堂奥歯について考える時、どうしても人生として完結してしまったものについて考えざるを得ない。坂口恭平の、現在進行形の「生き延びるために書き続ける」こととのコントラスト。死の誘惑に対してもユーモアを持って切り抜けていく姿勢。完全なる躁鬱の操縦士。
二階堂奥歯は、あの形でしか自分の人生を彩り、輝かせ、散らせることしかできなかった。いや、できなかったのではない。できたのだ。
恐怖に怯えながらも、最期の最期まで彼女らしく生き抜いた。あれが彼女の人生だったのだ。
私は『八本脚の蝶』を読んでから、心のどこかに蝶の脚が刺さったまま生きている。

余談ではあるが、奥歯の彼氏であった哲くんは、奥歯の知性と精神的支柱であった書店員の雪雪さん(奥歯の知らない世界を沢山教えてくれ憧れであった男性)について、どんな思いを抱いていたのだろうと、ふと思ったりもする。